朝、パソコンを開いたら、ファイルが全部開けない。画面には英語の文章と、知らないメールアドレス。
こういう場面に出くわしたとき、落ち着いていられる人はまずいません。慣れている人でも、最初の数分は頭が真っ白になります。
ただ、ここで知っておいてほしいのは、最初の1時間の動き方で、その後の調査と復旧のしやすさがかなり変わるということです。今日は、そのとき何をして、何をしないか。現場で迷いやすい順に書いていきます。
まず、何が起きているのか
ランサムウェア(パソコンやサーバーのファイルを勝手に暗号化して、元に戻す代わりにお金を要求するウイルス)の可能性が高い状態です。
暗号化というのは、ファイルに鍵をかけて読めなくすること。犯人だけがその鍵を持っている、という仕組みです。
最初にやること
1. ネットワークから切り離す
いちばん最初にやるのは、これです。
- LANケーブルを抜く
- Wi-Fiをオフにする
ランサムウェアは、社内のネットワークをつたって、ほかのパソコンやサーバーにも広がろうとします。ケーブルを抜くだけで、それを止められる可能性があります。
2. 電源は、切らない
ここが一番迷うところだと思います。「とにかく電源を落とせばいい」と思いがちですが、電源は切らずに、そのままにしてください。
パソコンの中には、電源を切ると消えてしまう記録が残っています。どこから入ってきたのか、何をされたのか。それを調べる手がかりです。
3. 画面を、スマホで撮っておく
脅迫文の画面、エラーの表示、気づいた時刻。スマホで写真を撮って、時刻と一緒にメモしておきます。あとで報告書をつくるときに、必ず役に立ちます。
4. 決めておいた連絡先に知らせる
社内の情シス担当、上司、委託している会社。決まっている連絡先に、見たことをそのまま伝えます。
やらないこと
逆に、次のことは、いったん手を止めてください。
- 脅迫文に書かれた連絡先には、連絡しない
- 身代金は、払わない(払っても元に戻る保証はありません)
- 自己判断でウイルス対策ソフトのスキャンや初期化をしない(記録が消えることがあります)
- ほかのパソコンで、同じファイルを開いて試さない
「何かしなきゃ」と思うほど、手を動かしたくなります。でも最初の1時間は、広げない、消さない、残す。 これだけ意識すれば十分です。
少し落ち着いたら
被害の範囲が見えてきたら、次のような届け出や報告も必要になります。
- 警察(各都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口)への相談
- 個人情報が漏れた可能性がある場合は、個人情報保護委員会への報告(法律で決められているケースがあります)
- 取引先への連絡
このあたりは一人で判断せず、専門の人と一緒に進めるのが安心です。
本当に大事なのは、起きる前
ここまで書いておいてなんですが、いちばん効くのは、起きる前に「誰が・何をするか」を決めておくことです。
- 最初に誰に連絡するか
- 誰がネットワークを切る判断をするか
- バックアップはどこにあって、本当に戻せるか
この3つが紙1枚にまとまっているだけで、当日の動きはまるで違います。
おわりに
ランサムウェアの話をすると、どうしても怖い話になりがちです。でも、やることは意外とシンプルです。広げない、消さない、残す。そして、ひとりで抱えない。
もし今、まさに画面が出ていて困っている方がいたら、サイトの「緊急相談」から連絡してください。最優先で折り返します。
気になることや、確認のしかたが分からないことがあれば、お問い合わせや、右下の「よろづ相談窓口」から気軽に声をかけてください。
